同じ8点台でも中身は同じではない
海外での評判を手短に知りたいとき、MyAnimeList(MAL)の作品ページに出ているスコアを見る人は多い。このサイトも各話の反応は MAL のエピソード討論スレッドから取っているので、作品ページのスコアを横目で見る機会は多いはずである。
ただ、スコアの数字だけを並べて作品の出来を比べると、読み違いが起きやすい。採点した人が数百人の作品と数十万人の作品とでは、同じ8点台でも数字の意味が違う。放送中の作品では、毎週の放送ごとに数字が動くこともある。何を足し合わせた数字なのかを知っておくと、こうした違いを落ち着いて読めるようになる。
スコアは平均点そのものではない
MAL は上位ランキングの説明ページで、作品のスコアを加重スコアとして計算していると明かしている。式は「加重スコア = v ÷ (v + m) × S + m ÷ (v + m) × C」である。S はその作品の平均点、v は採点した人数、m はスコアを表示するのに必要な最低人数、C はデータベース全体の平均点を指す。
この式の意味は、採点した人数が少ないうちは、作品の平均点よりもデータベース全体の平均点に引き寄せられる、ということである。v が m に比べて小さいと C の重みが大きくなり、v が十分に大きくなると S の重みがほぼすべてになる。たとえば熱心なファン数十人だけが満点に近い点を付けた作品でも、それがそのままスコアに出るわけではない。
逆に言えば、採点した人数が多い作品のスコアは、ほぼその作品の平均点だと読んでよい。採点人数は作品ページのスコアの近くに表示されているので、数字を比べる前にまずそこを見るとよい。
数に入らない採点がある
同じ説明ページによると、v には数えない採点がある。ひとつは、完結した時点で作品の5分の1を見ていない人の採点である。数話見て切った人の評価が、作品のスコアをそのまま押し下げないようにする仕組みと読める。もうひとつは、票を動かす目的で作られた不正なアカウントの採点である。
そのため、作品ページに表示されている採点人数と、計算に実際に使われた人数は一致しない。採点人数の欄を見て「これだけの人が付けた平均だ」と考えると、少しずれる。おおよその規模を見る目安として使うのがよい。
スコアの順位と人気の順位は別物
MAL の作品ページにはスコアのほかに、ランキングの順位と人気の順位が並んでいる。説明ページによれば、通常の上位ランキングは加重スコアの順に並べたものだが、人気順と放送前作品の順位は、その作品を自分のリストに加えた人数の順に並べたものである。
つまり人気の順位が高いことは、多くの人がリストに入れたことを示すだけで、評価が高いことを意味しない。見る予定に入れただけの人も数に入る。人気は高いのにスコアの順位は中ほど、という作品は珍しくなく、それは「話題になって多くの人が手に取ったが、評価は割れている」状態として読める。
放送中の作品で数字が動きやすい理由
放送中の作品のスコアは、放送が進むにつれて上下しやすい。理由は式の形からいくつか考えられる。
まず、放送開始直後は採点した人数がまだ少ないので、上で見たとおりデータベース全体の平均点への引き寄せが強く、毎週の採点の増え方によって数字が大きく変わる。次に、放送中に採点するのは毎週追いかけている人が中心である。続きを楽しみに見ている人の採点が先に集まり、途中で見るのをやめた人や、完結後にまとめて見る人の採点は後から入ってくる。
さらに、評価の分かれる回が放送されると、その週に採点を付け直す人が出る。スレッドで反応が大きく割れた回のあとにスコアが動いているのを見かけたら、作品の評価が確定したというより、まだ途中の数字が揺れていると読むのが安全である。
海外の評判を読むときの使い方
スコアは「どれくらいの規模の人が、だいたい何点を付けているか」を知る入口としては便利である。ただし、比べるなら採点人数が同じくらいの作品どうしにし、放送中の作品は完結後の数字と同じ重さで扱わないほうがよい。人気の順位は評価ではなく注目の大きさとして読む。
その作品がなぜその点なのかは、数字からは分からない。どの回で何が評価され、どこで意見が割れたのかは、エピソードごとの感想を読むほうが見えてくる。このサイトの各話ページでは、MAL の討論スレッドに実際に書かれた反応を原文つきで載せているので、スコアが気になった作品は話数ごとの反応もあわせて確かめてほしい。